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【#えぞ財団:首長インタビュー第2弾】村中比布町長×木下さん③~「食や教育、スポーツで人生を豊かに生きる」北海道の発展に繋がる“良い連鎖”とは~

■村中 一徳:2018年から比布町長。
比布役場で産業振興課長・総務企画課長補佐などを歴任。民間企業との協力や農業の振興による活性化を推進、SNSを駆使し自ら町の魅力を発信するなど積極的にPR活動も行っている。1969年旭川市出身。趣味は読書、スポーツ観戦。
■木下 斉 : 一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事。1982年東京都出身、母親が旧丸瀬布町(現遠軽町)出身。著書「地元がヤバいと思ったら読む凡人のための地域再生入門」「地方創生大全」「稼ぐまちが地方を変える」等。


基礎的な運動機能のアップで健康寿命を伸ばす。人生を楽しく豊かに、世界で活躍する子を育む町へ

木下:比布町の産業的な面はお伺いしましたが、他に行政の財政的な運営の特徴となるような政策は町長が今やっている中で何かありますか?

村中:はい、コロナ対策でなかなかやろうと思っている事が前に進んでいない状況ではあるんですけれども、今進めようと思っているのは運動と食です。運動と食を通じて脳を活性化しようという事業に取り組もうと思っていまして、今は「人生100年時代」と言いますので、健康寿命をどれだけ長くするかというのはこれから医療費の関係にしても介護の関係にしても大切な事だと思うんですよね。
ご高齢の方からしてみれば、運動苦手なのに急に介護予防事業として運動してくださいといっても大変なんですよ。苦痛でしかないんですよね。だったら子どもの頃から運動に親しんで、「運動得意ではないかもしれないけど嫌いじゃないよ」、「勉強も音楽も美術も何でも好きだよ」という大人になって健康寿命を延ばし、人生を楽しく豊かに生きてもらえたらなと思っています。びっくりしたんですけど運動神経って遺伝しないらしいんですよ。

木下:そうなんですか、みんな遺伝だと思っていますよね。

村中:はい、運動していた親は小さい頃から一緒に遊んだりするから運動神経が繋がったりするんですって。成人の運動神経の8割って、6歳までで形成されちゃうらしいんですよ。オリンピック選手になるとかというのは別として、運動は誰でも出来るようになるという可能性があるという事なんです。

木下:そうですよね、この間ちょうどスポーツ科学の先生とシンポジウムをやっていたんですけど、心肺機能系も、20歳頃までに運動をやっているとグッと引きあがってそこからなだらかに落ちていく。
落ちるスピードはみんな同じなんですけど、基礎があって頂点が高いと歳をとってもある程度運動機能が残っていると。全然やっていない状態で同じスピードで下がっていくと劇的な低下があるので、押し上げる事を一生懸命やらないといけないとおっしゃっていました。それと同じように運動神経も子どもの頃にある程度決まっちゃうんですね。

村中:それを知った時にはウチの子どもは高校生だったのでもっと早く知りたかったな~と思いました。

木下:(笑)

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運動に励む比布町の子どもたち

村中:心の病とかもありますが、アメリカの精神科では薬ではなく運動プログラムを処方する事も進んでいるようです。心というのは脳ですから、そこに血液が回って神経が繋がっていけば心も体も健康になるんだなと思って、小さい頃からかけっこしたりジャングルジムに登ったり、体を動かす事を普及していきたいと思っているところです。

木下:なるほど。以前僕が「学校授業の体育で更に苦手意識を持ってしまった」という話をした際に聞いたのは、スポーツ教育の分野も変わってきて、小学校はバスケットとかサッカーとか、子ども向けのルールに切り分けて急に苦手意識を持たないように難易度を適合させたプログラムに大分変わってきているらしいですね。そうする事で、上手に出来ないとかのハードルが下がる。
あとは知人が緩いスポーツで「ゆるスポーツ」というのをやっていたり、大阪の大東市では公務員の理学療法士の逢坂さんが「元気でまっせ体操」というのをやっていたりします。体操といっても、座ったまま出来るものとかいろいろあるんですけれども、一番は毎日コミュニケーションを取りにその場所に出てくるという機会作りが重要という事なんですね。
地元の企業さんが100社くらい協力をしていて会社の会議室とかを無償で提供して、そこに町の高齢の方が皆さん出てこられて、一日一回そこでちょっとした運動とお喋りをして。元気でやるのが一番人生も楽しいし、高齢の方も少ないとはいえ医療費の自己負担もあるので病気にならないに越したことはない、元気で美味しくご飯を食べれた方が良いという
そういうちょっと変わった理学療法士の方がもう20年くらいこの取り組みをされているんですが、その結果介護度の改善が図られていくというのがここ数年顕著に見られるようになったそうです。特に参加拠点が増えてきて参加率が高くなったこの5年くらいの間で、福祉関連予算を削減したわけではないのに、結果として大都市は5億円分くらい改善されていたりしたといいます。健康な人が増えた結果このようになるのなら、私は健全な社会はそうあるべきなんじゃないかなと思います。
今のお話を伺うと、比布町もそういう方向に…

村中:そうですね、コロナでなかなか進まない現状もありますが、比布町も大学の先生と協力しながらやっています。その先生が言うには、保護者面談をすると「うちの子学力大丈夫ですか」と心配する親はいるんですけれども、「うちの子体力大丈夫ですか」と心配する親御さんはなかなかいない。どっちが人生を豊かにするかというと、やっぱり健康である事が人生を豊かにすると思うので、文武両道と言いますか、どっちも好きだよ、勉強も好きだし運動も好きだし音楽も美術も何でも好きだよとなってもらいたい。
そして子ども達には世界で活躍して欲しいですね。本当は高校とか大学を出たら比布町に戻ってきて欲しいなとも思いますけれども、世界で活躍をして30代・40代・50代とがむしゃらに働いて、ふとした時に比布町良かったなと思ってもらえるようにしたいなと思っています。そこが本当の子育てなのかなと思っています。

木下:なるほど。比布は高校まであるんですか?

村中:ないです、高校は99%旭川市内ですね。小学校と中学校も一つずつしかなく、同じ敷地内に建てて体育館とグラウンドは共用して小中一貫校にしています。実は勉強も優秀ですし運動も全国大会に出場する選手が出たり、今回ももし甲子園があれば行けた可能性のある選手もいましたし…

木下:そうなんですね。

村中:子ども達は勉強も運動も本当に頑張っていますね。

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比布町の子どもたち

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