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【えぞ財団:経営者対談】インターステラテクノロジズ稲川社長×サツドラHD富山社長②〜グローバルな宇宙産業。世界のロケットベンチャー企業は100社以上、中国の資金力に危機感も〜

北海道大樹町で日本の民間ロケットとして初めて宇宙空間に到達した観測ロケット「MOMO」を開発したインターステラテクノロジズ株式会社の稲川社長にサツドラHD富山社長がインタビュー。(2020年6月10日取材)

■稲川 貴大:インターステラテクノロジズ株式会社 代表取締役社長。1987年生まれ。東京工業大学大学院機械物理工学専攻修了。学生時代には人力飛行機やハイブリッドロケットの設計・製造を行なう。修士卒業後、インターステラテクノロジズへ入社、2014年より現職。
■富山 浩樹:2015年からサツドラホールディングス代表取締役社長。卸商社を経て、2007年サッポロドラッグストアーに入社。1976年札幌市出身。趣味はジョギング、お酒。

○グローバルな宇宙産業。世界のロケットベンチャー企業は100社以上、中国の資金力に危機感も

富山:スペースX(※スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ=アメリカの大手宇宙輸送業)も凄く早く実現した印象があるけれど、稲川さんが仰ったように会社は新しい宇宙産業のベンチャーがどんどん出来て、そこで人が育っていったというのが大きいのでしょうか?

稲川:完全にそこですね。民間企業で、安くしないといけない競争が起こったり、NASAが買ってくれると言うのがあると、長くやっていればどんどん人が育ちます。スペースXは今正確にはわからないですが従業員5000人から7000人くらいと言っているんです。 ロケットの中で一番大きな会社は5000人の従業員、しかも専門職ですよ。その人を雇おうと思うと数年で出来る訳は無いですよね。 アメリカはここ30年という民間、もしくはアポロ計画など、その前から 60年70年もやってきているので、そういう実績があって初めて出来るものですよね。

富山:なるほど。 日本は逆に言えばISTさんくらいしかそういう風に人材を抱えられるところが無いですよね。

稲川:ようやく人工衛星とかも含めてロケットだと打上げを始めたのが数社です。人工衛星とかもう少し幅広い意味で最近は宇宙ベンチャーと言って、20社30社広めに捉えて50社くらい小さなベンチャーですが生まれているので、ここ数年は結構勢いがあります。

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富山:そう考えると凄いですよね。 少し調べるとこうやって宇宙空間まで行けている民間の企業って全部アメリカでもうそれ以外は世界でISTさんだけですよね?そう考えると歴史の深さからするとその環境も含め凄いキャッチアップですね。

稲川:本当に大変ですが、頑張っています。 アメリカ以外で初めてという部分は、液体ロケットという種類では我々が初めてです。民間企業で過去3社あり、我々は4社目です。固体ロケットという方式もあります。 この方式も合わせると大体うちは9社目になるんです。ここ1年で既に12社ぐらいになっています。 だから固体ロケットという方式で3社後ろに出て来ている。それは中国です。そこも大変なところで、日本だとロケットベンチャーは片手くらいの数社なのですが、世界で見ると100社のロケットベンチャーがあると言われています。 めちゃくちゃ競争になってくるんです。 アメリカも当然スペースXに発注しているように、もっと色々な会社に発注するよっと言っているから、市場があるなということでアメリカは物凄い沢山のベンチャーが生まれている し、ヨーロッパもやり始めようとしています。 中国も今までは全部軍の中のミサイル軍みたいなものがありその中で抱えていたのですが、アメリカ的にある程度民間企業に発注するようになりました。政府の補助は大きいみたいですけどね。 そういう風に変わって来ているので、中国もベンチャーが起こって来ています。 ですので、グローバルで見たときにライバルは100社居ると思ってやっています。予算的には中国とか資金調達の桁が違いますよね。

富山:凄そうですよね。中国の勢いは。

稲川:中国の勢い凄いですね。 我々も発表の段階で15億円の資金調達はしているのですが、中国のロケットベンチャーって一番大きいところで100億円超える資金 調達をしていたりします。 やはり10倍くらいの金額がベンチャーにお金が入ります。ただ、お金があるから直ぐ上手くいくかというと中国のロケット技術はかなり偏っていたりするところもあるのです。でもその資金 がずっと入り続けていったら、やはりこれに勝てるんだっけ?みたいな話になるので、危機感というかスピード感を持ってヒヤヒヤしながらやっています。
 

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この部屋から宇宙につながるロマン

○成長する”宇宙産業市場”と厳しさ増す”企業の生き残り”、大樹町へのサツドラ出店も期待の表れ

富山:現在は100社ですが、これから宇宙産業の中でも色々な分野が生まれて、成長していく企業が出てくるとみていますか?

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